行政登録団体による多頭飼育崩壊

2023年9月、約8年にわたり栃木県動物愛護指導センターの登録団体だった「栃木しっぽの会」の多頭飼育崩壊が発覚。
年間100頭を超える収容犬を引き取り続けていたにも関わらず、活動の実態がわからないことに、不安の声が広がっていました。
多額の寄付を募って作ったとされるシェルターは、代表とその家族しか出入りできず、内部を確認できる第三者は殆どいなかったことから、状況の把握は困難を極めました。
センターに対しても通報・問題提起を行いましたが、事態が動くことはなく、動物たちの状態を危惧した有志のボランティアが立ち入ったことで、シェルターの一部が初めて公になりました。
疑惑と問題点
立ち入り当時の記録
経緯・進捗
疑惑と問題点
不適切飼育
当該団体は、2015年~多頭飼育崩壊が発覚した2023年までの約8年間、栃木県動物愛護指導センターの登録団体として計1,266頭もの収容犬を引き取っていた。センターの記録と照らし合わせると、そのうち少なくとも600頭以上が数字上所在不明となっている。劣悪な環境での飼育・ネグレクトにより、発見した犬たちは殆どが痩せこけ、衰弱していた。
代表は、他の現場や一般からの犬猫の引き取りや捕獲に加え、新たに自身のペット及び繁殖用としてつがいのヤギ2頭を高額購入するなど、動物の収集を止めることはなく、アニマルホーダー(劣悪多頭飼育者)の一面もあった。

不透明な運 営実態
当該団体は代表者とその家族で運営されており、非常に閉鎖的だった。犬の散歩や当該団体の迷子犬の捜索等を手伝うボランティアですら、シェルターの敷地内や室内への立ち入りは拒まれ、内部の動物たちの様子を知ることは困難を極めた。

集めた支援金の行方
当該団体は、SNS等により日常的に寄付金を募っていた他、計3回のクラウドファンディングで、約1,800万円の支援金を集めていたが、その使途や成果物について十分な報告や説明がなされていたとはいえない。

動かない行政
栃木しっぽの会の活動実態が不透明であることや、多頭飼育崩壊に陥る危険性を、栃木県動物愛護指導センターに対し、他団体・ボランティアが複数回に渡り訴えてきた。現地視察・指導・譲渡停止等を求めたが、一切の対応はとられなかった。また、センターに対し提供した個人的な情報や問題提起の内容が同会代表に伝わっていたこともあり、センターと同会の癒着関係も疑われた。
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投稿一覧
現場に実際に立ち入り、レスキューを行ったボランティア(当サイト運営者を含む)による、当時の様子や経緯を綴った投稿です。
多頭飼育崩壊の経緯
2015年~
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栃木しっぽの会が、栃木県動物愛護指導センターの譲渡登録団体となる
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センターから多数の犬を引き取り、過密飼育や不適切な飼育が疑われるSNS投稿(写真等)が散見されていた
2020年10月
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同会が「シェルターを作る」として、クラウドファンディング(初回)で約460万円を集める
2020~2021年頃
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あるボランティアが、同会から脱走した迷子犬の捜索活動に参加中、たまたまシェルター敷地内を通行することを許された際に、建物の一部分を窓の外から確認した
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室内には多数の犬たちがケージに閉じ込められており、不適切な飼育状態であることを確認した
2021年3月
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上記状況に危機感を持ったボランティア(A・仮)が、栃木動物愛護指導センターに出向き注意喚起を行うも、事態が変わることはなかった
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ボランティアAが他団体や栃木県内の個人ボランティア等へ呼びかけ、情報収集を始める
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各団体・ボランティアがそれぞれ、栃木しっぽの会代表に対しアプローチするも、状況の確認は困難を極めた
2021年9月
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栃木しっぽの会が「保護した犬たちの医療費、フード代、シェルターの外壁改修、猫部屋の修繕費等に充てる」として、クラウドファンディング(2回目)で約460万円を集める
2022年7月
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栃木しっぽの会が「野犬の群れを全頭保護する」として、クラウドファンディング(3回目)で約800万円を集める
2023年6月~9月
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計3回のクラウドファンディングの成果物や収支について十分な報告はなく、進捗も窺えなかった
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センターからの収容犬の引き出しのみならず、個人依頼の犬猫の引き取り、野良犬の捕獲、個人のペットとして高額な資金をかけペットとしてヤギのつがいを購入するなど、栃木しっぽの会代表の動物収集は止まらなかった
2023年8月
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センター訪問中、センター職員から同会代表について「(収容犬を引き取ってくれて)とてもありがたい、すごい」等の発言があったため、同会の不適切飼育の疑惑に関して再度問題提起した
2023年9月24~30日
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翌日、某スペイクリニック(現在閉院)が現場に介入。同クリニックは現地で全動物の一斉避妊去勢手術を行うことを最優先とし、他団体やボランティアに対しても動物の保護や現場への立ち入りを禁止するなどしたため、協力体制を取れなかった
2023年9月30日
~10月6日
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某スペイクリニックが撤退
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栃木しっぽの会代表と直接交渉を続けた団体・ボランティアにより、さらに数十頭の犬が現地から保護される
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多くの団体や個人ボランティアが、片付け・清掃や動物たちの世話・引き取りなどの協力を申し出たが、栃木しっぽの会代表はこれを受け入れず、誓約書も守られなかった
2023年10月7日
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動物愛護団体Mが残る犬猫全頭の所有権を譲り受け、栃木しっぽの会の敷地内に犬舎を建て飼育を継続すると両者からブログ・SNSにて発表
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このことにより、他団体・ボランティアは一切の介入ができなくなった
2023年12月27日
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栃木しっぽの会代表の動物虐待容疑について訴えた刑事告発を提出→受理される
2024年1月
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現地の状況を確認するため、栃木県動物愛護指導センターに対し指導記録等の開示請求を行う
2024年2月
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情報提供により、動物愛護団体Mと栃木しっぽの会の協力体制が解除されていたことが発覚するが、捜査中のため静観を余儀なくされる
2024年6月
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センターに対し、指導記録等の開示請求(2回目)を行う
2024年7月
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開示請求で得た情報をもとに、センターに対し、本多頭飼育崩壊の対応に関する公開質問状を提出
2024年9月
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センターから公開質問状への回答が拒否される
2025年2月
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センターから開示された資料により、栃木しっぽの会が半年以上も立入検査を拒んでいることが発覚
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この間、センターは新たに同会に収容犬1頭を引き渡していた
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シェルターの状況も把握・改善しているとはいえず、指導内容についても疑問点が散見された
現在
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栃木しっぽの会へのボランティアの介入・環境改善への協力と残る動物の段階的な保護を求め、センターと協議中
情報提供を求めています
栃木しっぽの会の動物虐待行為についての刑事告発が受理・送検となりました。現在捜査中です。
さらなる写真・動画等、情報提供にご協力いただける方は、情報をお寄せください。